子どもの本(古典)を楽しむ会

先日の読書会は、『ふくろ小路一番地』(イーヴ・ガーネット/作  石井桃子/訳 岩波書店)を
読みました(^.^)

ふくろ小路一番地 (岩波少年文庫) - イーヴ・ガーネット, イーヴ・ガーネット, Eve Garnett, 石井 桃子
ふくろ小路一番地 (岩波少年文庫) - イーヴ・ガーネット, イーヴ・ガーネット, Eve Garnett, 石井 桃子


今回みんなが楽しめたようでした
参加者は5人と少なかったので、
時間が余っちゃうか?と思っていたんですが、
この物語の楽しさをわいわい話して、あっと言う間に2時間以上経っていてびっくりしました(笑)

かあちゃん、とうちゃん、そして子ども7人!
賑やかなラッグルス一家のお話です。

児童文学の歴史で見ると、
それまでイギリスの児童文学は、上流、中流階級の暮らしを描いたものが殆どだった中、
これは労働者階級の一家をリアルに描いた最初の作品として評価が高かったようで、
カーネギー賞を受賞しています。

優れた作品の再読の利点はいろいろあると思います。
経験が増えたことで、
捉え方や感じ方も変わるでしょうし、
新たな発見がいろいろあるのが楽しいですよね。

例えばこの作品は、
最初に出てくる長女リリー・ローズの名前の由来。
このことは
若い図書館員だった時に読んだ時は、
知識がなく、さらりと流していました。

ラッグルス家のとうちゃん、かあちゃんが結婚する前、
ロンドン見物の中で行ったテート美術館。
そこに展示されていたサージェントの
「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」
から付けたというところで
この絵の説明があるんですが、
再読した時は、
はっきりと一枚の絵が浮かびました。
でテートギャラリー展の時の図録を引っ張り出してきて確認したところ、
当たり!

美しく印象的な絵です。
この絵から子どもの名前をつけたとは!

大して進歩のない私ですが、
それなりに知識は増えていることがわかりました(笑)

知識が増えたり、立場が変わったりしたことで
以前は気づかなかったことへの発見があるのはうれしいことです。
それは優れた作品だからこそですが。

この物語は、登場人物がみな生き生きと描かれているんですが、
特に子どもたちひとりひとりのエピソードが楽しいんですよ。

ペチコート事件・・・子どもなら誰しも同じようなことを経験しているのではないかなぁ~
親に喜んでもらえると思ってよかれと思ったのに(>_<)・・・みんなが共感できる出来事です。

被害者であるビーズリー奥様の対応が素敵

二女ケートの帽子事件も然り。
三男ジョーの映画館の冒険もドキドキ、わくわく
楽隊の人たちもナイス

いつも思うことですが、
こういう大人たちに見守られながら、自分たちは生きているのだということ。
自分たちの味方になってくれる大人がいるんだということを
せめて文学の中で子どもに味わってほしい。

加えて、
生きていることは、楽しい!素晴らしい!を物語の中で体験してほしいと思います。

それを体験できる感じさせてくれる児童文学が優れているし、
手渡して行きたい本です。

この本はそれを満たしてくれていると思うんですよね~
ガーネットが
この作品を書くまで子どもの本は一冊も書いていないというのは驚きです

貧乏な一家を描いているはずですが、
ちっとも不幸な感じはなく、
事件もからりと明るい。
子どもたちの生き生きとした姿が読み手によく伝わります。

挿絵がまた秀逸です
作者ガーネットは元々が画家なので
挿絵もガーネットが描いているんですが、
かわいいし、愛おしいし、笑えます(笑)

ガーネットの挿絵は、
『ある子どもの詩の庭で』(ロバート・ルイス・スティーヴンソン/作 まさきるりこ/訳 イーヴ・ガーネット/絵 瑞雲舎)
でも見ることができます。
『宝島』のスティーヴンソンの詩にガーネットの絵?
ということで興味深いんですが、
個人的には、
圧倒的に『ふくろ小路・・・』の方が生き生きとしていると感じます。
それは、物語を作り、キャラクターを作った本人が描いた絵と
別の人の詩に描いた絵との差な気がします。

ある子どもの詩の庭で 改訂版 - スティーヴンソン,ロバート・ルイス, ガーネット,イーヴ, Stevenson,Robert Louis, Garnett,Eve, ルリ子, 間崎
ある子どもの詩の庭で 改訂版 - スティーヴンソン,ロバート・ルイス, ガーネット,イーヴ, Stevenson,Robert Louis, Garnett,Eve, ルリ子, 間崎

石井さんの訳文もやっぱり良い!
楽しく笑えます(笑)

ガーネットにしても、
自分の育った環境とは違う物語をなんでこんなにリアルに描けた?
と思うのですが、
石井さんもよくこの労働者階級一家の様子を生き生きと楽しく訳せたなぁ~
と驚きます。

とにかく
ラッグルス一家、笑えます。
ニッと笑いたい方、お薦めですよ~

最後のエピソードは
ドタバタな感じなのに、
ラストシーンは洒落ていて、なんだかちょっとジーンとしちゃう。
日本の児童文学にはこういう洒落た感がなかなかないんですよね~

なのに・・・この読書会が何度か延期になっている間に
品切れ絶版になってしまいましたぁーーーー

うーーむ

この作品は、優れていると思いますが、
この物語の楽しさをよくわかっている大人が紹介してあげないと
今の子たちが自分から手にとるかというとなかなか難しいと思います。

品切れ絶版では、
本屋には手渡すことができません。
図書館員の方々、どうかがんばってください
























ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント